2022年6月17日 最高裁は原発事故の国の責任を否定


最高裁要請行動に参加し、意見を述べました。


1.福島原発避難者愛媛訴訟 高裁判決(裁判所編)

2021年9月29日 高松高裁において、国と東電の責任があるのは当然のことだという趣旨の判決が出ました。避難者側の主張が、多くの点で認められた、ありがたい判決です。

2.福島原発避難者愛媛訴訟 高裁判決(記者会見編/再編集)

判決の概要を説明する、記者会見の様子です。音が小さい場面は、字幕を入れております。 

3.福島原発避難者訴訟 高裁判決 舵をとる時 

奇しくも、新首相が誕生した、9月29日。

被害者救済へ舵をとる時ではないかとの被害者弁護団からの問いかけ。


2021.9.29

高松高裁で勝訴しました。

令和元年(ネ)第164号  ①損害賠償、②損害賠償各請求控訴事件

令和元年(ネ)第192号  同附帯控訴事件

 

判 決 骨 旨

 

高松高等裁判所第2部  

 以下では、第1審被告東京電力ホールディングス株式会社を「第1審被告東電」と略称する。

 

1 第1審被告国の責任について

(1) 地震調査研究推進本部(推進本部)は、平成14年7月31日に「長期評価」(三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について)を公表した。長期評価は、三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りのどこでもマグニチュード8クラスのプレート間地震(津波地震)が起こり得るとしており、ポアソン過程により、今後30年以内の発生確率は20%程度、今後50年以内の発生確率は30%程度と推定されるとした。

 したがって、経済産業大臣としては、原子炉施設についての規制権限行使の要件の具備の判断において、長期評価の見解をも参照し、福島県沖について、明治三陸地震を参考にした震源域を設定して津波のシミュレーションを行うなどし、それにより想定される津波が福島第一原発に及ぼす影響の有無や程度を調査、検討すべきであった。経済産業大臣が、この津波評価シミュレーションを第1審被告東電に指示するなどしていれば、しかるべき時期には、第1審被告東電が平成20年に試算したのと概ね同様の試算結果(福島第一原発の敷地南側においては、〇.P.(小名浜港工事基準面)十15.7m程度(福島第一原発の主要建屋の敷地高を大幅に上回る。)の津波が到来する危険性があること)を認識し得たのであり、これによって福島第一原発の原子炉建屋及びタービン建屋等が浸水して全交流電源を喪失し、原子炉施設の冷却機能が失われて損傷するなどの重大な事故が発生するおそれがあり、そのような福島第一原発は、発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令(技術基準省令)62号4条1項所定の技術基準に適合していないものと判断できた。

 

(2) 経済産業大臣が、福島第一原発の技術基準適合性についての判断において、長期評価の見解に示された見解に依拠しなかったことは、著しく合理性を欠くものであり、それによって技術基準に適合していないとの判断に至らず、技術基準適合命令を発しなかったことは、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠く。

 長期評価の見解が公表された平成14年7月31日から遅くとも1年後には、長期評価の見解に依拠して津波のシミュレーション結果を得て、技術基準適合命令を発することができた。そして、原子炉施設の建設や、安全性の維持のための一般的な技術的水準に照らすと、その後約7年6か月程度の期間があれば、福島第一原発を技術基準に適合させるための措置を講じることが可能であったから、経済産業大臣の規制権限不行使と本件事故との間には、因果関係がある。

 

(3) したがって、第1審被告国は、国家賠償法1条1項に基づき、第1審原告らが本件事故によって被った損害を賠償する責任がある。

 

2 第1審被告東電の責任について

 本件事故に関しては、第1審被告東電の責任につき、原子力損害の賠償に関する法律3条(無過失責任)のみが適用され、第1審被告東電は同条項に基づいて第1審原告らが被つた原子力損害を賠償する責任がある。

 なお、第1審被告東電には、本件事故発生につき過失が認められ、重過失があるとまではいえないとしても、過失の程度は相当程度に重く、こうした事情は、第1審原告らに対する慰謝料額の算定において考慮すべき要素になる。

 

3 第1審被告国の損害賠償責任の範囲について

 本件事故は、第1審被告国の規制権限不行使と、第1審被告東電による福島第一原発の運転等が相まって発生したものと認められるから、第1審被告国と第1審被告東電は、第1審原告らに発生した損害について、それぞれ全額賠償責任を負い、これらは不真正連帯の関係に立つと解する。

 

4 第1審原告らの損害及び額について

(1) 旧避難指示解除準備区域に居住していた第1審原告らについて

 包括的生活利益としての平穏生活権の侵害に基づく慰謝料額としては、避難慰謝料として、①強制的な避難を余儀なくされた点については、各200万円、②避難生活の継続を余儀なくされたことについては、平成23年3月~平成30年3月の間、月額12万円、さらに、③実質的に故郷を喪失したのと同視できることから、そのことによる慰謝料(故郷喪失慰謝料)として各100万円を認める。

 

(2) 旧緊急時避難準備区域に居住していた第1審原告らについて

 包括的生活利益としての平穏生活権の侵害に基づく慰謝料額としては、避難慰謝料として、原則として、①実質的に強制的に転居させられた慰謝料については、各150万円とし、②避難継続慰謝料については、平成23年3月~平成24年8月の間、月額12万円と認める。故郷喪失慰謝料の発生は認めない。

 

(3) 自主的避難等対象区域に居住していた第1審原告らについて

 包括的生活利益としての平穏生活権の侵害に基づく慰謝料としては、①子ども及び妊婦については、自主避難慰謝料として各20万円、また、それ以外の者は、原則として、各10万円、②避難継続慰謝料については、平成23年3月~平成24年2月の間、原則として月額5万円と認める。ただし、妊婦及び子どもらについては、平成23年3月~平成24年8月の間、月額7万円を認める。故郷喪失慰謝料の発生は認めない。

以上


声 明

 

1 はじめに

 

 本日,高松高等裁判所第2部(神山隆一裁判長)は,福島原発被害愛媛訴訟について,国の責任を認め,国と東京電力に対し賠償を命じる判決言い渡した。

 

 この訴訟は,平成23年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により,福島県内から愛媛県内へ避難を余儀なくされた原告ら10世帯25名が,国と東京電力を被告として,平成26年3月11日(6世帯12名)と平成27年4月10日(4世帯13名)に提訴したものである。平成31年3月26日に松山地方裁判所で国と東京電力の責任を認める判決が言い渡されたが、認定された損害額が低すぎることを不服として10世帯23名が控訴していたものである。

 

2 被控訴人国らの責任について

 

 本判決は,一審松山地方裁判所に続いて国の国賠法上の責任を明らかにした。

 

 本判決は、令和2年9月30日に「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発判決(通称「生業訴訟」)の仙台高等裁判所における控訴審判決、令和3年2月19日の東京高等裁判所における控訴審判決(一審千葉地方裁判所)に続いて国の責任を明確に認めたものである。

 

高松高等裁判所が仙台高等裁判所、東京高等裁判所に続いて国の責任を認めた本判決の意義は極めて大きく、今後、同種の裁判においても影響が大きいものである。

 

国及び東京電力は,今後,上告することなく,被害者に対して,加害責任を認め,謝罪し,誠意ある対応をすべきである。

 

3 賠償額について

 

控訴審判決は,慰謝料額について原審松山地裁の計2743万円から上積みして計4621万円の慰謝料の支払いを命じ、一部の避難者には「故郷喪失慰謝料」を認めた。

 

長期の避難や故郷を喪失したことの慰謝料を認めた意義は大きいものの、被害実態に見合った金額ではなく、「故郷喪失慰謝料」についても旧避難指示解除準備地区の居住者のみの適用にとどまった。すべての原発事故被害者に対して適正な賠償を実現することは本判決においても,なお克服すべき課題である。

 

4 原発事故被害者の全面救済を

 

 平成23年3月11日に発生した福島第一原発事故から既に10年が経過したが、依然として事故の収束の目途は立っていない。未だ多くの人々が避難を余儀なくされており、被災者の被った甚大な被害の原状回復と完全賠償も実現されていない。

 

 本日の判決において,国や東京電力の加害責任が高等裁判所の場においても明らかとなった今,国や東京電力が行うべきは,被害者の切り捨てではなく,加害責任を前提にした原発事故の過酷な被害実態を踏まえた完全賠償の実現及び生活圏の原状回復を含む生活再建のための諸施策をとることを強く求める。

 

 私たち原告団・弁護団は,本判決を受けて,今後も,国及び東京電力の責任において,すべての原発事故被害者が原発事故前のくらしを取り戻すための原状回復措置をとること及び被害に対する完全賠償を実現させるために全力を尽くす決意である。

 

令和3年9月29日

 

 

 

福島第一原発事故・損害賠償愛媛訴訟弁護団 弁護士  野 垣 康 之



判決前のスタンディングアピール

日時:9月23日㈭秋分の日 13時から 

場所:松山市駅前 

どうぞご参加ください!


高松高裁判決日のお知らせ

日時:9月29日㈬ 14時開廷 

場所:高松高等裁判所(高松市丸の内1-36)

傍聴をご希望の方は、13時30分までに、高松高裁1階待合室にお越しください

 

判決後の記者会見・報告集会は裁判所すぐそばの高松センタービルを予定しています。


当会代表の石手寺住職・加藤俊生さんが急逝

当会代表の石手寺住職・加藤俊生さんが7月17日、心筋梗塞で急逝されました。 これを受けて会議が持たれましたが、支える会の代表は、加藤さん以外に適任はいないことから、代表不在ではありますが、今の事務局および、世話人の体制を維持することといたします。今後とも変わらぬご支援のほど、よろしくお願いいたします。





4月9日に控訴しました。

<弁護士コメント抜粋>

「国は責任が認められたので、それを不満として控訴。東京電力も中間指針より高額の賠償が認められているので控訴。避難者も、賠償額が低いので控訴しました(避難者が控訴しないと高裁で一審判決より増えることはない)。

 以上のとおり、一審で決着がつくことは他の全国の訴訟でもなく、3者全員が控訴するというのはほぼ既定路線です。

 

 避難者のうち、松山地裁で認められなかった自主避難してから松山で生まれた二人については、控訴して認められるかどうか保証がなく、請求棄却になる可能性もあることから控訴しませんでした。控訴したのは10世帯23名です。なお、松山地裁で満額550万円認められた人は、請求額を1100万円に拡張して控訴しました。

 

 高松高裁の控訴審は半年後くらいから始まります。

 控訴審でもご支援をよろしくお願いいたします。

 

 


「福島原発事故避難者裁判を支える会・えひめ」事務局から

提訴から5年、いよいよ3月26日、判決の日を迎えます。

東京電力福島第一原発の事故後、福島から愛媛県内に避難した10世帯25人が、東京電力と国に損害賠償を求めて起こした裁判の判決言い渡しは、松山地方裁判所で、3月26日(火)13時10分から行われます。

皆さまぜひ、傍聴にお集まりください。

 

3月26日(火曜日)当日の日程です

  12:30 松山地裁ロビー集合

  13:00 入廷行進 

  13:10 開廷、判決言い渡し 

  13:40 記者会見(県庁記者クラブ)

 

  14:15 報告集会(愛媛弁護士会館〈松山市三番町4-8-8〉)

 

《人の痛みを放置しない判断を! 国の責任を問う裁判》

 同様の裁判は全国で約30件起こされていて、これまでに9件の一審判決が出ていて、全て東電に賠償を命じ、大半で国の責任も認めています。松山地裁での判決も全国から注目が集まっています。今回、京都、大阪、神戸の避難者訴訟の原告や弁護士の方たちも応援に駆けつけてくださいます。

 裁判所が、原告の被害の窮状を理解し、国と東京電力の加害責任を示し、放射能被害から「避難する権利」を認め、正当な「ふるさと喪失」慰謝料を認める判断をすることを願っています。

 

 なお、前日の25日(月)12時~12時半、いよてつ高島屋前で、街頭宣伝行動を行います。ご参加いただける方は、こちらへもご協力をよろしくお願いします。

 

福島原発事故避難者裁判を支える会・えひめ 事務局

電話 089-916-3056   fukusasaeru@yahoo.co.jp

 


東北・四国 心行き交う盆踊り大会

 

日時:9月22日(土)15時~出店 17:00~20:30盆踊り

場所:松山市石手寺(石手2丁目9-21

雨天決行、荒天中止

ダウンロード
盆踊りチラシ表裏.pdf
詳細はこちらをご覧ください。
盆踊りチラシ表裏.pdf
PDFファイル 1.4 MB

10月30日火曜日は13:30 裁判所ロビーに集合

13:45 入廷行進

14:00 開廷  裁判はすぐに終わって、今回は進行協議もなし

14:30 番町クラブで記者会見

15:00 弁護士会館で報告集会


映画『SHIDAMYOJIN』上映会・トークショーのご案内

●日:2018年2月17日(土)

●時間:13時開場13時30分開

●会場:日本キリスト教団松山教会

松山市味酒町2-7-1 電話089-941-3476 ※駐車場はありません。公共交通機関でご来場ください。


映画自主上映します

3月18日土曜日 場所 コムズ(開場9:30)

一回目 10:00~12:10 (12:10~被災者トーク)

二回目 14:00~16:10


総会します(映画上映日)

3月18日土曜日 場所 コムズ 13:00~13:50


口頭弁論の期日のお知らせ

次回の口頭弁論期日は、3月7日(火です

いずれも開廷は14時30分です。ぜひ傍聴に来てください。